2021年3月からマイナンバーカードが健康保険証として利用可能になるらしい(一部の医療機関)。ずいぶん先の話だなと思いつつ、マイナンバーカードって今どうなってるのだろうと思って調べてみた。
マイナンバーカードの現在
発行状況
総務省のHPに四半期ごとの情報が掲載されているので、データはそちらを参考にした。
参考:マイナンバーカード交付状況(平成31年4月1日現在)
交付枚数
2019年4月1日時点で 1656万6976 枚
人口に対する交付枚数率(めんどうなので以降"普及率"とする)は 13.0 %となっている。
分布
都道府県別の交付状況を見てみたがそこまでの差異はない。10%の差をどう見るだが最大でもこの程度ということだ。
- 首位:宮崎県(17.6%)
- 最下位:高知県(7.5%)
一方、男女・年齢別の普及率も公開されていて、こちらがちょっと興味深い。
年齢層が高くなるに従って普及率も上がっていくことがわかる。
20歳未満はそもそも使う機会がないだろう。普及率の高い高齢層は自治体からのお知らせにしっかり目を通す時間があるのもしれない。しかし20歳~70歳未満の現役世代(?)は自分の印象とは異なって意外と普及率が低いようだ。
正直、通知カードでも特に困らないし、役所に行く時間が確保できないという理由もありそうだ。
用途
自分はマイナンバーカードを持っているが、結局何に使えるんだっけ?っていうのがよくわからない。
コンビニで住民票を発行した記憶はあるが、それ以外に用途があるのだろうか。
出典:http://www.soumu.go.jp/main_content/000370432.pdf
- 個人番号を証明する書類
→通知カードでも番号は証明できる。 - 本人確認の際の身分証明書
→他に身分証明書が無い人にはメリットかもしれないが、免許証を持ち歩いていれば出番はない。 - 様々なサービスがこれ1枚
→自治体ごとに異なるので全部は把握できないが、図書館利用カードとして使えるところもあるようだ。 - 各種行政手続のオンライン申請
→確定申告の際にe-Taxでの手続きに必要。PC+ICカードリーダが必要なのでハードル高い。 - 各種民間のオンライン取引
→「利用できるようになります」・・・予定は未定という事で。 - コンビニなどで各種証明書を取得
→これはわかるけど使用頻度が低すぎる。
なるほど。これぐらいであれば積極的にカード化するメリットは薄いかもしれない。
よくよく調べると、通知カード保有者が転居した場合は通知カードの裏面に新住所が追記されるようだ(免許証と同じような運用)。カードとほぼ同じ役割を持つ通知カードが独り立ちしてるということだ。これじゃあカードが普及するわけない。
通知カードは廃止
当然これは認識済みのようで、2019年5月24日に「デジタルファースト法」という法案が可決された。
この法案の中でマイナンバー通知カードの廃止が盛り込まれているので、いずれマイナンバーカードの保持は必須になる。
最初からカードで良かったんじゃない?というツッコミはあるのだが、廃止を決めただけでも良しとしよう。大きな組織が一度決めたことを止めるには相当なパワーが必要なのだから。
マイナンバーカードのこれから
何ができるようになるのか
マイナンバーカードがこの先どう便利になるのかって気になるので、同じく総務省のHPに資料(あくまで2017年時点のロードマップ)があるのだけど、結局のところよくわからない。
参考:マイナンバーカード利活用推進ロードマップ(平成29年3月公表)
いやー細かくて字が多すぎる。全然頭に入ってこない・・・
仕事でもこういう細かすぎる資料をよく見かけるんだけど、誰に向けた資料なんだろう。内部資料を公開しているだけ?少なくとも国民に向けた資料ではないよね。
困ったので日経の記事よりピックアップすると
- 健康保険証として利用可能に
- 医療費控除の手続き簡素化
- 個人向けサイト「マイナポータル」から医療情報、投薬履歴を閲覧可能に
- カードを使った買い物に国からポイントを付与
- カードでの個人認証をスマホでも全面的に可能に
- 相続や死亡の申請をネットで完結させる
- ハローワークの手続き電子化
参考:
マイナンバーカード 保険証に 22年度中に全国で :日本経済新聞
保険証・ポイント還元… マイナンバーカード普及なるか :日本経済新聞
健康保険証関連
健康保険証として使えるのは素直にありがたいのだが、気になるのは現行の保険証カードの扱いだ。
記事では2022年度中に全国ほぼ全ての医療機関が対応との記載がある。という事は同時に保険証カードを廃止するのだろうか。通知カードを廃止するスケジュールが未定だが、2022年度中までに廃止できるのであれば、保険証カード自体も同時に廃止することができる。
もうひとつは「お薬手帳」の存在だ。
投薬履歴を閲覧可能なのは個人向けの「マイナポータル」であるが、この情報をお薬手帳の代わりとして薬剤師に提示できればよいと思うのだが。各ドラッグストアがお薬手帳の電子化対応を行っているが、データの保存先は以下のリンク先の通りバラバラだ。
保険証がマイナンバーとリンクするのであればデータの抜け漏れは無くなるので、一元管理が望ましいのだが、既得権益が許さないだろうな。
キャッシュレス関連
キャッシュレス決済に国からポイント付与ってあるけど、冷静に考えれば国民の税金な訳だけども。
ポイントのばら撒きで顧客がついてこないのはキャッシュレス事業者が経験済みだと思うので、しっかりフィードバックを有効活用して欲しい。カードが行き渡ったはいいけどポイントの設定が複雑すぎて総スカンを食らうっていうのはありがちなシナリオではある。
で、このポイントが何者なのかはわからないが、以下の記載は気になるところ。
地方自治体が指定する小売店や通販サイトで利用できる。
うーん、Amazonでは使えない気がするな・・・
自由に使えない死蔵ポイントにならないことを願おう。
運転免許証も統合しよう
とりあえず健康保険証は近いうちに持たなくてよくなるが、もうひとり財布の中にレギュラーメンバーがいる。
運転免許証だ。
こいつは常に健康保険証やマイナンバーカードと一緒にいることがほとんどだ。身分証明書としての役割は重複しているので、こちらもマイナンバーカードにリンクして欲しいところ。実現すれば警察の仕事もだいぶ減るだろう。手数料徴収、視力検査、写真撮影、カード発行などが不要になるはず。
まとめ
ほんの一部ではあるがマイナンバーのこれからについて考えてみたが、ちゃんと活用すればスマートな社会の実現には不可欠であることは想像に難くないと思う。
このあたりは国民目線のわかりやすい説明を期待したい。国の政策ってほとんど説明で損している気がするので・・
さて、これから進化を遂げるであろう「マイナポータル」ってのを覗いてみようか。