キャッシュレス決済をいろいろと試してきて、現在はKyashをメインに利用しているのだが、決済に時間が掛かるのが気になっている。
Kyashをどうやって使っているかというと・・・
「クレジットカードでオートチャージ設定したKyashのプリペイドカードをGoogle Payに登録してQUICPayとして支払っている。」
???
ちょっと何言っているかわからないかもしれない。
こういうのがキャッシュレスが進まない原因のひとつだとは思う。もっと丁寧に説明しないと。
- Kyashというプリペイドカードがある。
- 残高が0円でもクレジットカードでオートチャージができる。
- Google Payに登録すればスマホで決済できる。
- お店で使うときは「QUICPayで!」と言って支払う。
こんな感じだろうか。
この記事を見ているということは、Apple PayやGoogle Payは理解できているかもしれないが、こちらも参考までに。
www.penchosan.com
QUICPayの決済が遅い
KyashとかGoogleの話はさておき、表向きにはQUICPayを使っていることになる。
で、このQUICPayで支払いをするともの凄く時間がかかるのだ。店舗にもよるが速くても5秒、遅いと10秒以上待たされる。1分近く待つといった声もネット上では見かける。
なんでこんなに時間が掛かるのだろうとネットでも調べてみたのだが、遅いと感じている人は多々いるものの、一方では速いと言っている人もいる。ハッキリとした答えはよくわからない。
モヤモヤが取れないのでちょっとしくみを理解して整理してみた。 結論だけ言えばタイトルの通り「紐づけているカードに依存する」になる。つまり遅いのには理由があるのだ。
QUICPayのすべてが遅いわけではない
自分の場合、初めて使ったQUICPayは冒頭で書いたオートチャージ設定したKyashを紐づけたもので、これが遅い遅いと感じていた。
結果的に「QUICPay = 遅い」という先入観が出来上がってしまったわけだ。
ただよくよく考えれば、常時こんな遅いものが普及するわけない。ということで、以下のパターンで支払いをしてみて決済のスピードを比較してみた。
前提条件
Google Payに登録したカードをQUICPayのメインカードとして設定し、同一店舗のレジでQUICPay決済する。
パターンと結果
# | 登録カード名 | カード種別 | 設定内容 | 結果 |
---|---|---|---|---|
1 | Kyashリアルカード | プリペイド | オートチャージ設定あり Kyash残高0円 |
約5秒 |
2 | Kyashリアルカード | プリペイド | オートチャージ設定なし 購入金額 <= Kyash残高 |
約5秒 (#1より若干速いか?) |
3 | LINE Pay カード | プリペイド | オートチャージ設定なし 購入金額 <= LINEPay残高 |
約3秒 |
4 | JCB CARD W | クレジット | 特になし | 1秒以内 |
なんだ、クレジットカードなら速いじゃない。
つまり遅いのはQUICPay自体の問題ではないということだ。
なお、店舗で導入しているPOSレジや電子マネーの読取端末によって処理速度のバラつきはある。ローソンは以前やたら遅かったみたいだけど、現在では問題なく速い。
ローソンにおける電子マネー払いって、他のコンビニに比べると処理速度が遅い印象アリ。ほんの少しの遅れすら、面倒に感じる最近です。 - クレジットカードの読みもの
決済時間に差が出る理由
プリペイドカード(デビットカード含む)は遅い、クレジットカードだと速い。じゃあ裏の仕組みはどうなっているのか、それぞれの手順を列挙してみる。
共通事項
- QUICPayはスマホ内部に残高の情報を持っていない
プリペイドカード
- 決済時にカード会社へ残高の情報を確認する
- 残高が不足している場合はオートチャージを行う
(オートチャージ未設定なら店舗の端末でエラー) - オートチャージの場合、設定されているカード会社または銀行口座へチャージ金額の確保を行う
- 残高が充分に存在する、もしくはオートチャージで充足した場合は即時購入金額を引き落とす
クレジットカード
- QUICPayはスマホ内部に与信枠(何円まで使ってよいか)の情報を持っている
- QUICPayはスマホ内部に累積利用金額(今まで何円使ったか)の情報を持っている
- 決済時に「購入金額 + 累積利用金額 <= 与信枠」であればその場で取引が完結する
- 決済時に「購入金額 + 累積利用金額 > 与信枠」であればカード会社へ与信枠の更新を依頼する
→スマホ内部の与信枠を更新、および累積利用金額を0円にリセットする
※説明のためQUICPayに特化して書いているが、ICチップ付きのクレジットカードも仕組みは同じ。
「QUICPayはスマホ内部に残高の情報を持っていない」 = 「クレジットカードはICチップに残高の情報を持っていない」
要は、QUICPayは残高の情報を持っていないので、店舗の端末からカード会社に残高を確認するための通信が発生する。これに時間がかかる。
ただし、クレジットカードの場合は与信枠の範囲内であればカード会社への通信が発生しない。だから速い。与信枠を使い切ったタイミングでは時間がかかる。
また通信速度はカード会社によって異なる。前述の比較だと#2と#3に時間差があるのは店舗から通信している先がKyashとLINEで異なるからだ。通信速度はさまざまな要因で変化するので、店舗側が原因の可能性もある。とはいえ総合的に見てもKyashは特に遅いと言わざるを得ない。
参考サイト:
チャージ不要でおサイフケータイ〜クレジットカード2社とドコモ - ITmedia Mobile
携帯をクレジットカードにする「QUICPay」は安心か - ITmedia Mobile
複雑化している国内の「モバイル決済サービス」を総整理する (1/3) - ITmedia Mobile
Kyash Visaカードはなぜガソリンスタンドやホテルで使えないのか - Kyash Blog
決済端末のお話~またまた続~ | Mr.ICのCard Payment & System Labs
整理すると
ここまでの流れを図にまとめてみた。
厳密にいえば他にも内部でいろいろ処理が行われていて、有識者からするとツッコミはあると思うが、概念が理解できればよいと思う。「オーソリ」とか「フロアリミット」とか専門用語は一般の利用者には関係ないので排除している。
上図のとおり、オートチャージ設定したKyash(いちばん上のパターン)は通信のやりとりが最も多く発生するので、時間がかかるのは当然ということだ。
iDはどうなの?
ここまでQUICPayの話をしてきたが、iDも大枠の仕組みは同様だと思う。ただiDの場合、仕組みに関する情報があまり存在しない(情報統制がしっかりしているのだろう)し、遅いという声もあまり聞かない。
ApplePayに登録したdカードプリペイドとかのパターンだと時間が掛かりそうな気がするけど、利用者が少ないのだろうか?
一方、Google Payは最近iDに対応したばかりで現時点では「SMBCデビット」しか対応してない。 www.penchosan.com
メルペイもiDを経由するのでメルペイ残高で決済してみたが、クレジットカードより若干遅いと感じた。つまりしくみはキャッシュカードと同じ(図の上から2番目のパターン)だと思われる。
2019/7/29 iDについての記事を追加
まとめ
タイトルの通り、QUICPayの決済速度は紐づけているカードに依存するということ。 前提条件が合ってないと、人によって「遅い」とか「速い」とか言ってることがバラバラになる。
プリペイドカード(およびデビットカード)はカード会社への残高確認が必ず発生するので、ある程度時間がかかるのは避けられないということ。
個人的に思うのは、JCBはQUICPayがこういう挙動だということ利用者に説明したらどうかということだ。
これからプリペイドカードやデビットカードの発行枚数は増えて行くと思うので、「QUICPay = 遅い」というイメージを持たれてしまうのは損だと思うのだが。まぁ「クレジットカードにすれば速いですよ」というセールストークに利用するのかもしれないが。
さて、最後にこれらを踏まえて決済速度に時間のかかるKyashをこのまま使い続けるか?
答えは YES だ。
「2%のキャッシュバック」 or 「決済の待ち時間が数秒加算される」のトレードオフ
数秒ぐらいは我慢しよう。