6月もそろそろ後半を迎えてきたので、4月に社会人になった人たちはもうすぐ約3か月が経過することになる。やる気に満ちている人も、すでに絶望を感じてしまった人もいるかもしれない。
こんなタイミングを狙ってか、社会人1年目と2年目の意識調査についての記事が目に入ってきた。先輩に言われてやる気が出る言葉とやる気を奪われる言葉のランキングだ。
データ自体は4月に公開されたものだが、気になったので自分の普段の言動と照らし合わせて反省の機会にしようと思う。あわせて2015年と2019年のデータも比較してみることにする。
上記サイトを含め、データの出典はこちら
社会人1年目と2年目の意識調査2019
社会人1年目と2年目の意識調査 2015 | ソニー生命保険
このたび、ソニー生命保険株式会社(代表取締役社長 萩本 友男)は、2019 年3 月15 日~3 月22 日の8日間、2019年春から働き始める社会人1年生、または、就職してから1 年が経つ社会人2 年生で20~29 歳の男女に対し、今年で6 回目となる「社会人1 年目と2 年目の意識調査」をインターネットリサーチで実施し、1,000名の有効サンプルの集計結果を公開しました。
落ち込んでいるときに、先輩社会人に言われたら、やる気に火がつくセリフ
まずはポジティブな方から見ていこう。こちらのランキングのポイントは落ち込んでいるときという前提条件が付いている。
ランキング
順位 | 2019年度 | (参考)2015年度 |
---|---|---|
1 | 君がいて助かった、ありがとう | 次からはこうしようか(改善策を指示) |
2 | 本当によく頑張った | 困ったことがあったらいつでも相談してね |
3 | 何でも相談してね | 頑張ったんだね、ありがとう |
4 | 一緒に乗り越えよう | 一緒に頑張ろう! |
5 | よくそこまでできたね | 失敗は誰にでもあるよ |
6 | 次も君に任せると決めた | 責任は俺が持つよ |
7 | 失敗なんか気にせず前進だ | この経験が君の強さになるよ |
8 | 失敗は成功のもとだよ | 私もこの前失敗しちゃってね |
9 | 次はかならず成功するよ | 君ならできるよ |
10 | ノウハウやコツを教えるよ | これは皆の失敗だからあんまり自分を責めないで |
感想
大まかに分類すると「評価」、「許容」、「連帯感」、「期待」、「改善」になるだろうか。全体的には同じような項目が並んでいるが、2015年度と2019年度では上位に若干の差異がある。1位、2位が2019年度は「評価」にながるものだが、2015年度では「改善」につながるものだ。
マズローの欲求5段階説でいうと、評価されることを望むのは「承認欲求」、アドバイスを望むのは「自己実現欲求」に該当しそうだ。もちろん、たった4年で欲求のフェーズが大きく変わったとは思えないが、失敗の許容よりも承認欲求が勝っているのは興味深い点ではある。
【参考】マズローの欲求5段階説
ありがとう、よく頑張った
落ち込んでいるときかどうかを問わず、基本的に依頼した作業が終わった場合には「ありがとう」と言うようにしている。これは単純な話で「ありがとう」と言われて嬉しくない人はいないからだ。昔は「ありがとう」を口に出すことは恥ずかしくて仕方なかったのだが、ある時、何事にも「ありがとう」と言う人に出会ってから考え方が変わった。この言葉があるのとないのでは印象がだいぶ変わるのだ。
一方で「よく頑張った」は使いどころを考えて普段は貯めておくかな。褒められて伸びるタイプだとわかっていればよく使うけど。もしかしてこのランキングはそれを示しているのだろうか?
何でも相談してね、一緒に乗り越えよう
これは、言葉で示したことはないな。どちらかと言えば普段の接し方や、接する回数によるのではないかと思う。日頃から接触しているなら相談できる環境はできているはずなので。絡んだことのないコワモテの先輩とか、上司の上司ぐらいの接点が少ない人かわ言われたら嬉しいのかもしれない。自分もよく厳しそうだという印象を抱かれるので、意識して使ってみようか。
次も君に任せると決めた
これは要注意。本人に適性が無い、もしくは苦手だとわかっていても仕事を依頼しないといけないケースはある。過剰なプレッシャーを与えかねないのであまり使わない。自分もこれを言われて「お断りします!」と反論したことあるし(退職を決意してた時だけど)。
失敗なんか気にせず前進だ、次からはこうしようか
一見、関係なさそうなこの2つだが、相手の性格によって使い分けた方がいいと思う。言葉どおり失敗を気にせず前進するタイプは次回も同じ失敗をする可能性が高い(笑)。逆にアドバイスが嬉しいタイプは失敗を気にするタイプなので、「気にするな」と言っても効果があるわけではない。
自分は「新人の仕事は失敗すること。だけど来年も同じ失敗してたら笑われるよ」と言っている。
私もこの前失敗しちゃってね
前述の失敗を気にするタイプには有効。小さな失敗を気にを気にして今後チャレンジできないようになってしまわないように、失敗のハードルを下げることは重要。先輩の弱みを見せることは信頼関係を構築する上でも多少の近道になるのだが、やりすぎると馬鹿にされるという諸刃の剣でもある。
先輩社会人に言われたら、やる気が奪われてしまうセリフ
続いてはネガティブな方を見ていこう。
ランキング
順位 | 2019年度 | (参考)2015年度 |
---|---|---|
1 | この仕事向いてないんじゃない? | この仕事向いてないんじゃない? |
2 | やる気ある? | ゆとり世代だなぁ |
3 | ゆとり世代だなぁ | やる気ある? |
4 | 私が若いころは〇〇だったのに | そんなことは常識でしょ |
5 | そんなことは常識でしょ | 私が若いころは〇〇だったのに |
6 | 学生気分が抜けてないんじゃない? | 学生気分が抜けてないんじゃない? |
7 | 前にも言ったと思うんだけど? | 空気読もうね |
8 | 言っている意味わかっている? | 社会ってそういうものだから |
9 | ちゃんと考えたの? | 言い訳はするな |
10 | 女/男だからしょうがないね | いや、そうじゃなくて |
感想
パッと見上位はそれほど差異がない。「空気読もうね」とか「女/男だからしょうがないね」あたりは時代を表している印象を受ける。「この仕事向いてないんじゃない?」が1位になっているが、この言葉が口に出てくるってどんな状況なんだろう。内心思うコトはあるけど、それ口に出して言うかね。論外なのはさておき、気になった点だけピックアップしていく。
ゆとり世代
これは普通に口に出している人を結構見かけるが、自分は意識して使わないようにしている。世代でひと括りにするなという意味はもちろんなのだか、マイペースな性格の人への攻撃の意味合いでも使われている場合がある方が問題だと思う。「バブル」や「ロスジェネ」や「ミレニアル」は世代に対する修飾でしかないが、「ゆとり」というワードは用途が広いゆえに副作用が発生している。
私が若いころは〇〇だったのに
歳を取っていくとついつい出てしまうこの言葉。特にエンジニアは残業時間や徹夜など今でいうブラックな状況を当てはめることが多い。言ってる本人に悪気はないのだが、異なる世代に当時の価値観を押し付けても嫌がらせにしかならないので、意識した方がよさそうだ。自分は「そんなブラックな時代もあったよ、ハハハ」という流れで使っているが。
前にも言ったと思うんだけど?
この疑問形で終わる書き方だとニュアンスが異なるのかもしれないが、「以前同じことを言ったよ」という意味を含めるケースはかなりある。もちろん皮肉の意味で言っている訳ではないのだが、本人が覚えていなければ嫌味に感じる可能性はあるということかもしれない。ちょっと気を付けよう。
社会ってそういうものだから(2015年)
社会ではないが、「この会社そういうカルチャーだから」はついつい口に出してしまうな。ある程度の年数を経れば笑い話になるのだが、新人相手に言うと現実を突きつけられて感が強いし、あまりいい気分ではないのは間違いない。個人的にこれは最も止めるべきワードだ。
まとめ
世代を表しているものも一部見られるが、原理原則は変わらないはず。自分が言われて嬉しいことは他人も嬉しいし、自分が言われて嫌なことは、他人も嫌がる。それだけの話だ。自分の価値観だけを基準に物事を考えていると原理原則を忘れがちなので、新人と接する機会があるというのはある意味ありがたいのかもしれない。それなりに大変だけど。