2019年6月20日、JALが9月1日から運航開始するエアバス社のA350の機内お披露目会が実施されたようだ。つい先日、ANAがA380を運航開始したり、国内線のシートをリニューアルすると発表があったばかりで、それをかき消すかのごとく絶妙なタイミングだ。
以前のエントリーを参考にしつつ、A350の新シートを写真からわかる範囲でチェックしていこうと思う。
なお、今回も写真は公式サイトとトラベルWatchを参考にしている。特に注釈が無い限り写真の出典元は公式サイトである。トラベルWatchは毎回写真が充実しているのでうれしい。
【JAL】
- 機内・ラウンジ −JAL国内線
- JAL国内線 エアバス A350、2019年9月より羽田−福岡線運航開始 - JAL国内線
- JALのエアバス A350機内は「日本の伝統美」がテーマ。全クラスを一挙刷新したシートの特徴を紹介 - トラベル Watch
【ANA】
- パーソナルモニター付きの新シート導入により、さらに快適で充実した国内線の旅を提供します|プレスリリース|ANAグループ企業情報
- ANA、国内線777と787の新シート公開。プレミアム/普通席にタッチ式モニターとAC/USB電源を完備 普通席はトヨタ紡織と共同開発 - トラベル Watch
全体的な特徴
全クラス共通の特徴についてピックアップしてみよう。
シートモニター
ANAも全席シートモニターを搭載する動きになっているので、JALも追随している。
機内で配信するビデオプログラムの継続再生ができるようだ。
ビデオプログラムの視聴途中に飛行機を降りたとしても、中断時に発行された8桁の番号を次回搭乗時に打ち込むことで、その続きから再開できる機能を付けたといいます。
引用元:https://www.excite.co.jp/news/article/Trafficnews_87211/
顧客にわざわざ8桁の番号をメモさせるの?お客様番号を入力すれば記憶してくれるっていう仕組みはまだ早いのか。今回導入するモニターには座席番号が表示されているので、顧客情報との紐づけは可能だと思うのだけど、席を入れ替わるケースもあり得るからまだまだ課題は多いのかもしれない。
飛行時間内に収まるプログラムを提案してくれる機能の方がありがたいような。
色
現行の機内は「黒っ!」というイメージなのだが、今回はワインレッドやグレーが使われていて、落ち着いた雰囲気を感じ取れる。
- ファーストクラス:アイボリー → 黒
- クラスJ:黒 → ワインレッド
- 普通席:黒 → グレー
余談だけど、この機内やシートの要所要所に使われているワインレッドを見ると、JALの新制服はB案になるんじゃないだろうか。最初に3つの案を見たとき、B案の赤色の違いが若干気にはなっていたのだが。ちなみに2019年夏に発表予定との事なので、結果はもうすぐわかる。
詳細な画像はこちらのサイトがわかりやすい。
シートの素材
現行は全クラス本革シートだが、新シートはファブリック素材の割合が多くなっている。モニタ等でコストが上がっているはずなのでコストダウン目的だろう。本革を使わないとなると黒のイメージにこだわる理由もなくなるので色調を変えたということかもしれない。
座席チェック
ファーストクラス
左がJALのファーストクラス、右がANAのプレミアムクラスだ。


「JALのファーストクラス ≒ ANAのプレミアムクラス」という解釈で問題ない。
ただし導入区間は異なる。JALのファーストクラスは羽田起点の新千歳、伊丹、福岡、那覇便のわずか4路線。一方ANAのプレミアムクラスはほとんどの路線に導入されている。路線が限られているJALの方が利用者層が明確なので、設備やサービスレベルがやや高めという事実は否定できない(同じ区間で比較するとJALの方が安いのだが・・)。
大型シェルと可動式ディバイダ(仕切り)
ANAのプレミアムクラスと比較してどこが最も異なるか?それはプライベート感の一言に尽きる。 実際に座ってみないとわからないが、写真だけで見てもANAの方は仕切りが低いので、隣の席の人が中途半端に気になってしまう可能性がある。JALの方は結構な高さが確保されているし、おまけに可動式なので知人同士でも問題なし。この差は大きいと思う。
電動リクライニングシート
これはANAでも対応されたのだが、JALはマッサージ機能というとんでもない付加価値を付けてきた。もちろんマッサージ器ではないので肩を揉んでくれる訳ではないが、背中と足のあたりがブルブル震えるようだ。ものすごい基本的なところを突いてきたなと素直に感動してしまった。
収納スペース


前の座席の背面に雑誌入れ(写真左)と開閉式の小物入れ(写真右)がある。
機内誌とか安全のしおりとかゴチャゴチャしているので、雑誌入れでだいぶスッキリするのではないだろうか。開閉式の小物入れは忘れ物する人が増えそうだな。降機時によくパソコン忘れてアナウンスで呼び出されている人いるし。
小物入れはサイズが小さいかもしれない。スマホなら余裕だがタブレットを入れるにはきついように見える。充電コード差したら干渉するだろうし。おまけ程度に認識しておけばよいだろう。ANAにも同じようなポケットがあるが、やっぱりサイズが微妙だ。
クラスJ
クラスJは正直それほど変化がないという印象。現行のシートがよくできているので、それほど進化するポイントがないのだろう。なおANAにはクラスJに該当するシートは存在しない。
収納スペース
収納は多く、前方足元のシートポケットやアームレスト内側の雑誌入れ、さらに2列目以降の席ではシートモニターの下に小物入れを用意する。小物入れは底が浅く、スマホなども置きやすい。各席にハンガーフックも備えている。
引用元:https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1191708.html
クラスJだけシート脇に大きなポケットが付いている。PCやタブレットも余裕で入る大きさだ。自分はこのタイプが一番使いやすいと思う。
読書灯
現行は天井から照らすタイプだが、アーム式に変わった。使う機会が少ないのでメリットがよくわからないが、各クラスで読書灯の位置がバラバラなのは気になる。ファーストクラスはヘッドレストの脇にあるし、普通席はおそらく天井から照らすタイプだ。
テーブル
現行もそうだが横から引っ張り出すタイプ。シートピッチが広いから前から出すタイプだと耐久性に問題があるのだろうけど、出し入れが結構面倒なんだな。なお、後述する普通席に存在する独立式カップホルダーはクラスJにはない。
普通席


ANAは柄を変えて遊び心を出していたが、こちらはモノトーンでワインレッドのアクセントすら無い(床の色がワインレッドだけども)。
ヘッドレスト
ANAとの最大の差別化はこのヘッドレストかもしれない。ついに普通席にも搭載されたかという感じだ。上下はもちろん前方にも可動するので、隣の人に寝顔を晒すという事態が若干ながら軽減されるかもしれない。個人的にヘッドレストの搭載にそこまで魅力を感じなかったのは飛行機であまり寝ることがないからだ。寝れるぐらいの距離ならクラスJを取りに行くし、そもそも寝つきが悪いのでヘッドレストにはあまりお世話にならないんだな。
独立式カップホルダー
これは重要。ドリンクサービスのためにテーブルを出し入れしたくないのだ。小さなことではあるが、今回の発表のなかでこれが一番うれしい。ただし、テーブルの裏側にあるので、テーブル使用中はカップホルダーは使えない。つまりテーブルでパソコンやスタンドカバー付きのタブレットを操作しながらドリンクを飲むという両立は難しい。両立できるスターフライヤーはすごい。残念ながらANAには搭載されなかった。
シートポケット
ANAと同様、メッシュタイプのポケットに変わったので、冷たいペットボトルでも安心。ANAと異なるのは仕切りがあるかどうか。ペットボトルを入れる分には仕切りは便利だけど、収納力は下がるので一長一短かもしれない。ここに赤のアクセントを入れるっていうセンスはちょっとわからないな(笑)。
まとめ
ざっと見た感じではANAよりもJALの方が上回っているという印象を受けた。やはり細かい面で顧客目線で設計されていると感じるポイントが多いのだ。特にファーストクラスで結構な差をつけたように思える。同じ料金を払うならおそらくJALに乗るだろう。まぁファーストクラスに乗る機会なんて滅多にないというのはさておき。
ハード面ではだいたい違いがわかったので、あとはソフト面、つまりサービス部分が今後どう進化するか楽しみだ。特に両社とも全席にシートモニタを搭載したからには、これからの主戦場はモニタの中になっていくだろう。以前のエントリーでも記載したが、できることはまだまだありそうだ。