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なにわ筋線の認可から関空アクセスの未来を考える。「はるか」と「ラピート」どうするの?

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2019年7月10日、国土交通省によりなにわ筋線の鉄道事業が認可されたようだ。東京も新規路線がいろいろと計画が進んでいるが、大阪も負けていない。今回はなにわ筋線の開業で関西空港へのアクセスがどう変わるのか特急列車の観点で考えてみる。

trafficnews.jp

なにわ筋線とは

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出典:報道発表資料:なにわ筋線「北梅田~JR難波・南海新今宮」の鉄道事業許可 - 国土交通省

なにわ筋線は大阪都心部を南北に貫く鉄道で、新今宮・JR難波と北梅田(仮称)を結ぶ路線として計画されている。これまで南北を縦断するにはJR大阪環状線で遠回りするか、大阪メトロ御堂筋線に乗り換えるしか選択肢がなかった。東京で言えば中央線が存在しないような状態だろうか。東京から新宿までどう行くの?みたいな。

国土交通省の事業目的を見てみると以下のように記載がされている。

①関西国際空港と大阪都心(梅田)の直結
②新大阪と大阪南部地域とのアクセス性の改善
③大阪の南北都市軸の強化(中之島、うめきた等の拠点性向上)
④大阪北部地域と大阪南部地域の相互交流の促進
出典:http://www.mlit.go.jp/common/001298777.pdf

1番目に記載されているぐらいなので、関空アクセスの利便性向上の位置付けが大きいと想定できる(もちろん他も重要だが)。

特急列車による関空アクセスの現状

現状、関空へのアクセス方法は2つ存在する。

  • 京都、新大阪、天王寺からJR「はるか」を利用する
  • 難波から南海「ラピート」を利用する

どちらも「大阪駅」を通らないという問題がなにわ筋線の建設目的につながっている。

「はるか」と「ラピート」の比較

起点は異なるものの、両者をデータで比較してみる。比較しやすいように「はるか」は天王寺起点とする。

JR西日本「はるか」
天王寺~関西空港
南海「ラピート」
難波~関西空港
距離 46.0km 42.8km
乗車券 1,060円 920円
特急料金 自由席:650円
指定席:1,170円
510円
合計 自由席:1,710円
指定席:2,230円
1,430円
最高速度 130km/h 110km/h
所要時間 約33分 約38分
運行頻度 30分に1本 30分に1本

料金は高いけど速い「はるか」と、料金も速さもそこそこの「ラピート」という位置付けだということがわかる。現状は両社で棲み分けが出来ていると言えるのではないだろうか。

JRと南海の輸送状況比較

参考までに輸送状況のデータ(2016年度)を掲載しておく。特急列車の利用者数は公開されていないが、両社のシェアはほぼ拮抗していると言える。

  • JR:1130万683人(一日平均:30,961人)
  • 南海:1077万3014人(一日平均:29,515人)

出典:調査・統計・概況 - 近畿運輸局

「はるか」と「ラピート」の未来

現状、棲み分けが出来ていると思われる両者だが、なにわ筋線が開業したらどうなるか?どちらも北梅田から関西空港を結ぶことになる。ただし現状の運用を維持するのであればルートが2つ、料金体系も2つになってしまい、北梅田では混乱必死だろう。なので現状維持は考えにくく、なにわ筋線の開業にあわせてテコ入れが入るはず。以下の3つの観点からどうなるべきか考えてみる。

  1. 車両(個別開発、共同開発)
  2. ルート(JR、南海、併用)
  3. 料金(JR、南海、共通化)

1.車両

既に報道されているが、JR西日本側は共同開発を検討しているようだ。

www.sankei.com

なにわ筋線は2031年春の予定なので、どのみち新型車両は必要。同じ区間を走る特急列車にわざわざ違う仕様を採用するとは考えにくいし、利用者側の観点でも同じ方がわかりやすい。まあ、仕様は同じでもカラーリングを変えてくる可能性は大だけど。どちらにせよ共同開発は既定路線だと思う。

2.ルート

どちらかに統合する、あるいは現行どおり2つのルートを併用するという選択肢がある。ただし、路線図を見てわかるとおりJR経由は遠回りになるので、JR側に統合するという可能性は少ないかもしれない。一方、南海側に統合すると「京都・新大阪~(JR)~北梅田~(南海)~関空」という両社ちょうど良い距離での運行が可能になる(京都~大阪間は42.8kmで南海と同じ距離)。JR東日本と東武鉄道が日光へのアクセスで結束したのと同じストーリーになる。ただし、天王寺というそれなりのターミナルをスルーすることになるのが悩ましい。

3.料金

これはルートに依存するが、前述したとおり、起点と終点が同じなら同一料金にしないと意味がない。成田空港のようにルート(京成線と成田スカイアクセス線)によって改札を分けるという対応は勘弁してほしいものだ。同一料金にするにしてもJR側の料金では高いという印象は拭えないので、南海側に寄せることになるだろう。

南海への統合がよいかもしれない

「車両も運行も両社共同の京都始発の特急を新設し、梅田~関空間は南海のルートを利用する」のがシンプルで良さそうだ。ダイヤは20分に1本くらいだろうか。南海側に特急が増えることになるが、コスト削減、競合が無くなる、京都直通をアピールできるのはメリットがあると思う。JR側は「はるか」が減る分ダイヤに余裕ができる。関空快速を強化するかもしれない。

南海に比べるとメリットが少ないかもしれないが、なにわ筋線はもともと南海の方がメリットが大きいのは間違いない。難波止まりが梅田まで届くわけだから。JRは大阪駅を持っているので、どちらかと言えば時短効果とダイヤの負荷分散がメリットになる。

まとめ

今回は特急列車のみにフォーカスしたが、他にも途中駅の問題やら無料列車(関空快速、空港急行)どうするかなど考慮すべきことはある。細かい話になってくると既得権益が絡んできて複雑さが増してしまい、本質を見失ってしまうことが多いので、抜本的な改革をしてシンプルにしてほしいものだ。関西空港駅の改札前、梅田に行くにはどっちに乗ればよいか迷っている人多数。そんな2031年にならないことを願う。