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テレワークの次は「ワーケーション」なるキーワード。働き方改革で優先すべきこと

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「ワーケーション」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「ワーク(仕事)」+「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語で、リゾート地などで休暇を取りながら仕事をするという一見矛盾しているような新しい働き方を指す。不覚にも今回初めて聞いたので、ちょっと取り上げてみようと思う。

www3.nhk.or.jp

ワーケーションとは

もともとは有給休暇の取得率が低かった米国で生まれた概念で、近年日本でも働き方改革ブームにあやかって注目を浴びているようだ。で、前掲のニュースは何かというと・・・

誰が:一般社団法人日本テレワーク協会
誰と:和歌山県と長野県
何のために:ワークスタイル変革及び地方創生の推進のため
何をしたか:全国的な自治体間連合「ワーケーション自治体協議会」を設立した

このイベントで登壇しているのは企業は以下の通り。

企業名 説明
日本航空(株) 和歌山県の南紀白浜空港への唯一の路線を持つ
NTTコミュニケーションズ(株) 通信事業者
「ワーケーションサイト南紀白浜」利用企業
(株)日本能率協会マネジメントセンター 和歌山県田辺市・白浜町と包括連携協定
ワーケーション関連ラーニングプログラム開発など
(株)NTTドコモ モバイル通信事業者
NECソリューションイノベータ(株) 和歌山県白浜町と包括連携協定。ICT活用による地域の発展
三菱地所(株) 「ワーケーションサイト南紀白浜」を建設
東京急行電鉄(株) 静岡県「VacationOffice伊豆高原駅」を建設
伊豆急ホールディングス(株) 東京急行電鉄の子会社、伊豆エリアの地域活性化
(株)J&J事業創造 JCB(クレジットカード会社)とJTB(旅行)の合弁会社

当然だが、がっつり利権が絡んでいる(笑)。要は「みんなで儲けていきましょう、ワッショイ」というキックオフイベントだ。この手の企業は自社でワーケーションに取り組んでいるという事例はあまり報道されない。建前上、ごく一部の部署で細々とやっているのが現実だろう。

唯一事例が多く出てくるのはJAL、間接的ではあるがJTBの事例が見つかったので、ワーケーションの具体的な内容を確認してみよう。

日本航空(JAL)の事例

travel.watch.impress.co.jp

2018年11月下旬から12月上旬にかけてJALの社員10名と家族10名の合計20名が3泊4日で観光を楽しみながらワーケーションの持続可能性を探った。
(中略)
働き方の一つとして2014年より在宅勤務がスタートしたが利便性が低くほぼ使われていない状態だったそうだ。その後社員からの意見を取り入れながらトライアルを繰り返し2016年にテレワークスタイルとなった。在宅縛りだけではなく、帰省先や旅先でとの要望があり2017年にワーケーションの導入へ。現在は突発的な業務が発生しても旅を諦めずに済むようにとのセーフティーネットとして機能する部分も大きいという。
(中略)
参加条件は有給取得をし、3泊4日のうち1日4時間を2日間などというように合計1日(1日の勤務時間は原則8時間のため)は業務をラボを利用するとした。

JALの事例からは太字部分で示した通り、試行錯誤しながら進めていることがよくわかる。ここでいったん用語の整理をしておこう。用語の定義がバラバラだと話がよくわからなくなってくる。

テレワークの分類

前述の一般社団法人日本テレワーク協会が定義している分類は以下の通り。

テレワークとは|日本テレワーク協会

テレワークとは働く場所によって以下の3つに分けられる。

  1. 在宅勤務
    自宅にいて、会社とはパソコンとインターネット、電話、ファクスで連絡をとる働き方
  2. モバイルワーク
    顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使う働き方
  3. サテライトオフィス勤務
    勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用した働き方

これをJALの対応と紐づけてみると以下の通りになる。

2014年に在宅勤務がスタート → これはそのまま、自宅での勤務のこと
2016年にテレワークスタイルとなった。 → 自宅の縛りを無くした。つまり2と3を認めた
2017年ワーケーション導入 → 休暇中でも一時的な勤務を認めた。場所は1~3どれでもよい

要は場所がどこであろうが関係はなく、休暇中に勤務を組み込めるということだ。

日本旅行(JTB)の事例

www.travelvoice.jp

休日や休暇を利用してハワイに滞在する社員が、ハワイの現地法人・JTB Hawaii Travel.LC内に設置した専用スペースで仕事をすることでテレワークと認める。原則としてテレワークは1日単位だが、半日や時間単位の申請にも対応。
中略
休暇中に仕事をできるようにしたり、あるいは休暇中に仕事をしなくてはならない事情が生じても対応できる体制を整えることで、社員が安心して長期休暇を取得できるようにする。

一方、こちらは場所がハワイ限定、しかもサテライトオフィスへの出社が前提となっている。場所の縛りがあるものの、ワーケーションの考え方は基本的にはJALと同じだ。社員のためというよりは「CAMPING OFFICE HAWAII」という自社サービスのプロモーションの意味合いが大きいかもしれない。

「CAMPING OFFICE HAWAII」は、JTBの現地提携ホテルやレストラン、レジャー施設、邸宅や有休スペースで、スノーピークのフィールドギアや研修プログラムを活用し“オフサイトミーティング”の機会を提供するもので、“ハワイの大自然の中で休暇を取りながら快適に働く”という新しいワークスタイルを提案するサービスです。

感想

ワーケーションとは「休暇中でも勤務ができるので、突発的な業務が発生しても旅行をキャンセルしなくても大丈夫だよ」という制度だということがわかった。テレワークという全体概念のなかのひとつの考え方という位置付けだ。うーん、なんというか、消極的な発想だな・・・。属人化が加速しそうだし、そもそも自分がいなくても意外と業務は回るんだという事を認識する方が大事なんじゃないの。

冷静に考えれば、ワーケーションはテレワークと時間単位(もしくは半日単位)の年休の組み合わせに過ぎない。にもかかわらず「ワーケーション自治体協議会」なるものが結成されるのは、やはり地方創生の意味合いの方が大きいとしか言いようがない。もちろん地方創生は否定しないし、都市部へ人口集中を緩和するために地方での受け皿は必要になると思う。

一方で働き方改革という観点から見ると、個人的には優先度が低いかなと思っている。なぜならテレワーク自体がまだまだ進んでいないし、IT化もままならないし、それ以前に本質的に無駄な仕事が多すぎるから。これらの課題と比べるとワーケーションはあまりにミクロな話なので、当面は一部の大企業が粛々と進めていくことになるんだろう。

という訳で、ワーケーションについては現時点では懐疑的。まずは仕事の量を減らしてしっかり休む習慣をつけないと。カレンダーを赤くしないと休めない日本人はどうやったらちゃんと休めるかを考える方が大事だと思う。