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糖質制限の本質をシンプルに理解する。三大栄養素の流れから把握する太る理由と痩せる理由

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テレビ、雑誌、ネットなどのメディアでは相変わらず糖質制限の話題で賑わっている。しかし、メディア(主にテレビ)で扱われる場合、方法(How)ばかりが取り上げられ、なぜ?(Why)について解説されることは少ないので、自分なりに極力シンプルに説明できるように整理してみた。

メディアの取り上げ方に偏りがあるのは、説明しても理解できないと思われているのか、もしくは理解されると困ることがあるのかわからないが(たぶん両方だろう)、何より視聴者や読者がやり方だけを求めている側面も否定できない。

手順ばかりを追い求めるということは思考停止への第一歩であり、ビジネスの恰好のターゲットにされ、結局振り回されてしまうので、本質を理解する必要があると思っている。

前提知識

三大栄養素

人間の生命維持や身体活動などに欠かせないエネルギー源。

  • 糖質
    米、パン、麺類など
  • 脂質
    肉、魚、ドレッシング、バター、マヨネーズ、ナッツなど
  • たんぱく質 肉、魚、卵、豆など

2つのエンジン

人間には活動するためのエンジンが2種類存在する。

  • ブドウ糖エンジン
    主に糖質、つまりブドウ糖(※)をエネルギー源とする。パワーは出せるが燃費が悪い。
    なお、脂質、たんぱく質からもある程度のブドウ糖を生成することが可能。
  • ケトン体エンジン
    脂肪が燃焼されてできるケトン体というエネルギー源とする。持続力があり燃費が良い。
    ブドウ糖が枯渇するとケトン体エンジンに切り替わる。

(※)糖質については過去のエントリーで整理したとおり、多くの糖質はブドウ糖で構成されている。 www.penchosan.com

ケトン体エンジンというのは一般的には認知度が低く、自分も糖質制限を勉強してから初めて知った概念だ。しかし、農耕が始まる以前の狩猟採集民族がどうやってエネルギーを生成していたかを考えれば、すんなりと理解できると思う。つまりケトン体エンジンをメインにしても人間は問題なく活動できるということだ。

人間が必要なエネルギーを生成するしくみ

三大栄養素からエネルギー源を生成する流れを高速道路に例えて図にした。毎度のことではあるが、あくまで個人の理解であることは承知して頂きたい。

1.ブドウ糖エンジン(通常時)

現代人のメインとも言えるエンジン。
日本人の三大栄養素のバランス(エネルギーに占める割合)は、60:25:15(炭水化物:脂質:たんぱく質)ぐらいだとされている。炭水化物=糖質+食物繊維なのでほぼ糖質とみなす。つまり、半分以上のエネルギーを糖質で賄っているということになる。
参考:食事摂取基準 - 調べる | 栄養指導Navi

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ここで大事なポイントは、ブドウ糖からエネルギーを生成することなのだが、余ったブドウ糖は中性脂肪として蓄積されるということだ。糖質を取りすぎれば太るのは当たり前だというのは一般的にも浸透しており、めずらしい話ではないと思う。

2.ブドウ糖エンジン(糖質不足時)

では、糖質が不足するとどうなるか?
前述のとおり、ブドウ糖エンジンは燃費が悪い。つまり、寝ている時などは長時間にわたって糖質を摂取できない。睡眠中はエネルギーは必要ないと思いがちだが、脳をはじめとする体内の器官は働いており、人間の生命維持のためには最低限のブトウ糖が必要になる。

この必要最低限なブトウ糖を、脂質とたんぱく質から生成する「糖新生」という機能が人間には備わっている。

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睡眠中に脂質とたんぱく質をどうやって採取するんだ?と思うかもしれないが、脂質は中性脂肪を燃焼、たんぱく質は筋肉を分解することで、食べ物からの摂取と同様にブドウ糖を生成している。

とはいえ、1の通常時と比べると明らかに交通量、つまりエネルギーの生成量が少ないというのが理解できると思う。糖新生で生成するブドウ糖はあくまでも必要最低限のレベルであり、日常的な身体活動に必要なエネルギーを賄うものではない。

3.ケトン体エンジン(糖質枯渇時)

では、糖質を断続的に摂取しないとどうなるか?いわゆる「糖質制限」と呼ばれる状態だ。
糖新生だけでは必要なエネルギーが不足するとわかると、ケトン体エンジンが動きはじめる。ケトン体という全く別のエネルギーを使うので、違うルートを使って目的地であるエネルギーを目指すようなものだ。

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ポイントはケトン体は脂質を元に生成されるということ。つまり、食べ物としての脂質はもちろん、体に蓄積された中性脂肪を燃焼させてエネルギーとして利用できるということになる。ケトン体エンジンが動き出すということは、糖質を摂取していない状況なので、中性脂肪は蓄積されず消費する一方。自然と贅肉は落ちていく。

前述したように、農耕が始まる以前の狩猟採集民族がケトン体エンジンをメインにしていたであろうことは何となく理解できるのではないだろうか。

リスク

巷ではよく糖質制限は危険だと言われていることがある。おそらく一番のハマりポイントは「糖質だけでなく、脂質、たんぱく質の量も減らしてしまう」ことだろう。栄養バランス、60:25:15(炭水化物:脂質:たんぱく質)の60を減らすということは他の2つの比率は上げる必要がある。全体を下げてしまうということは、図でいうと交通量が減るということ。中性脂肪は減ってうれしいかもしれないが、筋肉までもが分解されてしまうし、そもそも必要なエネルギー不足でフラフラしたりとリスクも無視できない。(実際に自分も経験している)

まとめ

説明不足な点もあると思うが、極力シンプルしてみた。糖質制限が「よい」とか「悪い」ではなく、大事なのは、なぜ太ったり痩せたりするのか。自分自身でも理解が深まったし、他人への説明にも使えそうな気がする。メディアでは「ああすればよい」「こうすればよい」みたいな断片的なことしか言わないので、本質的な部分がある程度理解できれば、「安全だ」「危険だ」の二元論に惑わされることもなく、自分で判断できるようになるはず。

参考情報

医師が教える!健康的に痩せる糖質制限ダイエット「4つのルール」(斎藤 糧三) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)
糖質制限でどんどん「痩せる」のはなぜか?秘密は体のハイブリッドエンジンにある! | ビジネスジャーナル
「栄養」について知らない「栄養士」が多すぎる | 健康 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準