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「内向型人間の時代」は訪れるか。異なるということを理解すること

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「内向型人間の時代」という本を読んだので感想を書いてみる。こんな本を手に取るということは、自分は内向的であるという自覚が少なからずあるということだ。自分が内向的であることに何かしら引け目を感じている人にとっては、内向的でもいいじゃないという気にさせるし、自分が外向型だと思う人にとっては、そういうタイプの人もいるのだと新たな気付きを得られる本だ。

内向型とは

そもそも内向型とか外向型とかいうワードにハッキリとした定義はないが、現代の研究ではある程度の傾向については合意されているようだ。研究によると、アメリカ人の三分の一から二分の一は内向型らしいのだが、アメリカ人でこの割合ってことは日本人ではもっと多いはず。本書で記載されている内向型と外向型の大雑把な分類は以下のとおり。(全部が一致というわけではなく、どちらの特性がより多く当てはまるか)

内向型

思慮深い、理性的、学問好き、控え目、繊細、思いやりがある、まじめ、瞑想的、神秘的、内省的、内部指向、丁寧な、穏やか、謙虚、孤独を求める、内気、リスク回避、神経過敏

外向型

意気軒昂、明るい、愛想がいい、社交的、興奮しやすい、支配的、積極的、活動的、リスクをとる、鈍感、外部試行、陽気、大胆、スポットライトを浴びるのが好き

なお、本書には、内向型外向型のどちらに属しているかのチェックリスト(20問)が掲載されている。ここでは引用しないが、ネット上にも10問とか30問とか似たようなチェックリストが存在するので、見てみてもよいだろう。おそらくどのチェックリストでも結果は変わらないのではないかと思う。自分は本書のチェックリストで17個ぐらい該当したので疑う余地もなかったが(笑)。

本書で書かれていること

本書は以下のパートで構成されている。

  1. 外向型が理想とされる世の中
    (現状認識と問題提起)
  2. 持って生まれた性質は、あなたの本質か?(生まれつきか?育ちか?などの研究の考察)
  3. すべての文化が外向型を理想としているのか?(西洋と東洋の性格タイプについての相違点)
  4. 愛すること、働くこと(内向型と外向型の付き合い方や、内向型の子供の伸ばし方など)

1.外向型が理想とされる世の中

二十世紀半ばの善意の親たちは、沈黙は許されないものであり、男の子にとっても女の子にとっても社交的であることが理想なのだと考えた。
(中略)
子供が小さいうちから内向的な子供は問題があるとみなされるようになった。

21世紀の現在においてもこの考え方は根強く残っているのは誰が見ても明らかだ。特に小学校という場でその傾向が顕著に表れている気がする。授業参観などで子供が手を挙げないというだけで問題があるのでは?と疑ってしまう親はいるだろう。そして、家に帰ったあと「あの時、何で手を挙げなかったの?」と問い詰めたりもしている。子供が頭の中でさまざまな思考を繰り広げているとしたら、それを中断してでも手を挙げることが理想なのかどうか考えるべきかもしれない。

外向型のリーダーは部下が受動的なタイプであるときに集団のパフォーマンスを向上させ、内向型のリーダーは部下がイニシアチブをとる能動的なタイプであるときに効果的だ。

組織における理想的なリーダーは外向的な人物をイメージするかもしれない。上記では外向性とリーダーシップとの相関関係は大きくないと言っていて、チームの特性や状況に応じて適切なタイプは異なるということだ。部下が能動的であれば内向型のリーダーは思考の時間が増えるので、色々なポイントに気付くことができるのは身をもって認識している。逆に言えば、受動的なタイプが多いと内向型のリーダーはパンクする。実際、日本人は受動的なタイプが多そうなので、外向的なリーダーをイメージしてしまうのもある意味当然なのかもしれない。

2.持って生まれた性質は、あなたの本質か?

複雑な問題解決をする場合の外向型と内向型のパフォーマンスの差についての研究から。

課題数が多い場合、とくに時間や社会的なプレッシャーや、複数の処理を同時にこなす必要があると、外向型の方が結果がいい。外向型は多すぎる情報を処理するのが内向型よりもうまい。内向型は熟考することに認知能力を使い切ってしまう
(中略)
内向型はぼんやりと座って思考をめぐらせ、イメージし、過去の出来事を思い出し、未来の計画を立てる。外向型は周囲で起きていることにもっと目を向ける。

前述のリーダーシップとリンクする話でもあるが、自分の経験上でも同様で、多くの課題が同時並行で解決しなければならない状況だと、状況を把握するだけで疲れてしまうし、ひとつの課題に集中させてくれと思ってしまう。一方で外向型のリーダーを見ていると、よくそんなすぐに状況把握できるなと感心することがよくある。ここでもやはり状況に応じて適切なタイプが異なるということが言える。

3.すべての文化が外向型を理想としているのか?

アジアでは、個人は家族や企業や社会といった、より大きな集団の一員とみなされ、集団内の調和が驚くほど重要視される。人々は集団内の階層に自分の位置を見出し、個人の願望よりも集団の利益をしばしば優先する。
(中略)
西洋文化は個人を中心に築かれている。一人ひとりが自分の思うところを述べ、至福を追求し、不当な抑制を受けず、自分だけができることをして生きるのだ。

このパートでは、カリフォルニアの高校へ通っていた中国生まれのアメリカ人の経験が記載されている。もちろん、アジア=内向型、欧米=外交型という大陸でレッテル貼りをしているのではなく、文化的な違いは無視できないということを述べている。

内向型、外向型を国家に当てはめるのであれば、日本という国も内向型の傾向が強いのかもしれない。一方で「文化」という概念もある程度は意図されたものが含まれているとも言える。日本を外向型を理想とする内向型の国家にしておきたいという考え方もあるだろうし。いずれにしても文化というか「歴史」の違いが性格タイプに影響する可能性は少なからずあるいう認識でよさそうだ。

4.愛すること、働くこと

外向型にとって、忙しい一日の終わりに内向型が充電の必要をどれほど切実に感じているかを理解するのは難しい。
(中略)
内向型にとっては、自分の沈黙が人をひどく傷つけることがあると理解するのが難しい。

内向型と外向型の付き合い方は、男と女の関係のようなもので、それぞれが異なるということを理解しないと平行線のままだということがよくわかる。自分を正として相手を変えようとすることが無理であり、お互い不快な思いしかしないということは日常生活のすべての場面で認識しておくべきだと思う。

内向型の子供のためにあなたができる最良のことのひとつは、新しい体験に対応するのを助けてやることだ。内向型は初対面の人に会ったり、知らない場所に行ったり、はじめてのことをしたりする際に大きく動揺する。だから、慣れない状況のなかで他人とうまくつきあえないのではないかという警戒心を子供が抱いているのを見逃さないようにしよう。彼(彼女)は、人間との接触を恐れているのではなく、目新しさや過度の刺激によって不安を感じているのだ。

子供は親の価値観や振る舞いを吸収して育つしかないので、結局は親が行動や考え方を変えるしかない。ここで大事なのは「助けてやる」ということだと思う。このワードの意味を理解しないとただの「管理」、「支配」であり、その先に待っているのは「毒親」と認識されることになってしまう。

総評

内向型の自分にとってはどういう特性を持っているのかを理解できたので、非常に参考になった。自分が子供の頃は外向的になれないことに劣等感みたいなものを感じていたことは確かだ。大人になってからそういう気持ちが解消された訳ではないが、当時ほどの生きづらさを感じることもない。自分が成長していろいろな考え方を認識したからなのかもしれないが、内向型の子供にとって「外向型を理想とする社会」の影響力が大きいことは間違いない。現代社会で本書のような考え方が当たり前になるには時間が掛かりそうだが、こういう本があるだけでもありがたいと思う。

参考

【Youtube】
www.youtube.com